LIVE(ライブ)で歌手(ミュージシャン)やアーティストがイヤホンっぽいやつを付けているのを誰もが一度は見たことがあるでしょう。歌手の耳についてるやつは通称「イヤモニ」と呼ばれるものです。
「イヤモニ」とは「イン・イヤーモニター」の略称です。
今回は、「イヤモニの意味」「歌手がなぜイヤモニをするのか。その役割」「イヤモニからは何が聞こえる?」などイヤモニについて解説していきます。
歌手の耳についているイヤホンっぽいやつはイヤモニです。
イヤモニはイヤホンと同じような形をしていますがイヤホンと何が違うのでしょうか。ここでは、「そもそもイヤモニって何?」「イヤホンと何が違うのか」について解説します。
イヤモニとは?その意味は?
イヤモニは略語で、正式にはイン・イヤーモニターと言います。直訳すると「耳のモニター」です。
モニターとは?
- 放送、録画、録音などを監視すること・チェックすること
- ディスプレイ
- 商品について意見を述べること
モニターの意味は複数ありますが、この場合のモニターの意味はディスプレイの意味ではなく「チェックする」という意味です。
つまり、イヤモニは、耳で音をチェックするものということができます。
普通のイヤホンと何が違うの?
イン・イヤーモニター。通称イヤモニは普通のイヤホンと何が違うのでしょうか。上記でもご紹介しましたが、イヤモニは音をチェックする装置ということができます。
イヤホンとイヤモニの違い
イヤホン | |
---|---|
音を聴くもの | 音をチェックするもの |
遮音性が低い | 遮音性が高い |
耳に直接音が届く | 鼓膜に直接音が響く |
メディア(映像・音楽・ラジオなど)を聞くもの | 特定の音・指示・リズムなど必要な音だけをピンポイントで聞くもの |
イヤホンは音を聴くものに対して、イヤモニは音をチェックするものなんです。
つまり、イヤホンに比べて、イヤモニは音を自由自在に分解し細分化して聴くことができます。
また、イヤホンは音楽を聞くためのものであるのに対してイヤモニは必ずしも音楽を聞くだけのものではありません。遮音性が高く、イヤホン以上に外部の音が聞こえにくくなっています。アーティストがライブ中に演奏するのに必要な音をより正確に聞くことができるようになっているのです。
そして、耳への音の伝わり方も違います。イヤモニは鼓膜に直接音が伝わるため耳が疲れやすいんだとか。
イヤホンの代わりにイヤモニを使用してみたいという方もいるかもしれません。しかし、ミュージシャンがライブ中に正確に音が聞けるように作られています。イヤホンよりもイヤモニは耳に負荷がかかりやすいので使用を考えている場合は慎重に検討しましょう。
どうしてイヤモニを使うのか。なぜ?その理由は?
歌手・ミュージシャンなどのアーティストはなぜイヤモニを付けているのでしょうか。
歌手がイヤモニをつける理由は、演奏・パフォーマンスをする上で必要な音を正確にキャッチするためです。
音は壁や大きなものにぶつかって反響します。大きく広いステージでは、観客側にスピーカーが設置してありますが、その音が反響してミュージシャンにも聞こえてきます。
反響した音は、リズムやテンポが崩れており、観客に聞こえている音とは異なります。これではミュージシャンは良いパフォーマンスを発揮できません。
観客が聞いているリズムに合わせてパフォーマンスができるように観客と同じ音をイヤモニから聞いているのです。
具体的には下記のようなことがイヤモニにはできます。
イヤモニでできること
- 特定の音だけを聞くことができる
- ライブ中でも自分の声を聞くことができる
- 音以外も聞くことができ、スタッフの指示も聞くことができる
- 外部の音を遮断できる
- 広いステージのどこにいても正確なテンポで音を聞くことができる
このようにイヤモニはライブなどの演奏中に、その演奏に必要な音だけを聴くことができます。それだけでなく、広いドームなどのコンサートでステージを走り回っていても、リズムを崩すことなく歌ったり、踊ったり、演奏することができるのです。
また、今では、「カラオケ音源を聞く」「ベースの音を小さくする」など歌手それぞれに合わせて聞こえる音を変えることもでき、それぞれのアーティストが歌いやすい音をイヤモニから流すことができます。
歌をステージ上で一緒に歌うグループで活動しているアーティストも、それぞれイヤモニから聞こえる音は違うんだとか。
モニタースピーカーって知っていますか?
モニタースピーカーとは、音源を忠実に再生するのに特化したスピーカーで、アーティストに音を正確に届けるために使用されています。
アーティストが歌ったり演奏したりする際、モニタースピーカーをアーティストの方に向け、音が正確に聞こえるようにすることで演奏・歌のサポートをしていました。
2000年以前はこのモニタースピーカーがアーティストには欠かせないものでしたが2000年代に入るとイヤモニが普及しはじめ、モニタースピーカーの代わりを担うようになりました。
モニタースピーカーはいわばイヤモニの卓上版です。
モニタースピーカーから離れるとアーティストに音は届けられません。イヤモニの出現により、アーティストはステージを走り回ってパフォーマンスできるようになりました。
イヤモニのメリット(利点)は?
イヤモニはモニタースピーカーと比べ、歌手がどこにいても正確な音を届けることができます。このようにたくさんの歌手やミュージシャンなどのアーティストがイヤモニを付けているのは、イヤモニにたくさんのメリットがあるからです。
イヤモニのメリット(利点)
- 会場・ステージのどこにいても正確な音を聞くことができる
- 外部の音は遮断されるため、小さな音でも聞こえる
- 耳に負担がかからない
- 音楽だけでなく、リズムやスタッフの指示などパフォーマンスをする上で必要な音を聞くことができる
1970年代には、イヤホンで正確な音を聞いていたアーティストもいたそうです。ライブ会場では、観客の為に音を大音量で流しています。そんな中でテンポの合った音をイヤホンから聞き取るには、かなりの大音量で聞く必要があります。耳に負担がかかることは言うまでもありませんね。
イヤモニの出現により、外部の音を遮断し、聞きたい音だけを聞けるようになりました。そのことで、大音量で音を聞く必要がなくなり、小さな音でもパフォーマンスができるようになったのです。
イヤモニをしない人もいる!
イヤモニは歌手にとっては欠かせないものです。それほど通常の音源では歌うのが難しく、また、耳にも負荷がかかります。
しかしそれでも、イヤモニをしない歌手も存在します。
それを知ったファンは、「イヤモニなしで踊りながら生歌を歌うのはすごい。それであんなに上手いのはすごい。」
また、自分の声を聞くのが苦手でイヤモニをしないという方もいるんだとか。アイドルはライブの途中、イヤモニを外すときがあります。それは、「ファンの声を直接聞く」「メンバーの声を聞く」ためです。
ここまでイヤモニの利点(メリット)をあげてきましたが、反対にデメリットをあげるとするならば、以下があげられます。
イヤモニのデメリット
- 外部の音が聞こえない
- イヤホンよりも耳に負荷がかかりやすい
イヤモニは外部の音をほとんど遮断することができます。そのおかげで小さな音でも聞きたい音が聞こえますが、反対に、イヤモニをしているとファンの歓声やメンバーの声は聞こえません。聞くためにはイヤモニを外して聞く必要があります。
曲と曲の間のトーク時間(MC)などでは歌手がイヤモニを外すことが多いですね。
イヤモニをしていない歌手がいたら、もしかしたら外部の音を確認する必要がある時かもしれません。
イヤモニからは何が聞こえるのか。その役割は?
先ほど、「イヤモニは音以外にも様々なことを聞くことができる」ことをご紹介しました。
- リズム・テンポ
- 曲・歌
- 歌のカラオケ版
- スタッフの指示
- 楽器の音
- 会場全体で流れている音
- 自分の声
イヤモニは歌手がつけているイメージが強いですが、演奏するミュージシャンもイヤモニを使用します。ドラムやギター、ベースなど生で演奏する方々もイヤモニを使用しますし、ダンスなどのパフォーマンスを主としている方々もイヤモニでリズムを聞いています。
それぞれのアーティストによって聞きたい音はそれぞれです。楽器を演奏する人であれば、自分と対になる楽器や、同じ楽器を演奏する人などの音を強調して聞きたいかもしれません。また、ドラムなどリズムを取る楽器は一定のリズムの音を聞きたいかもしれません。
このように、歌手だけでなく、ミュージシャンやアーティストなど音に関わるパフォーマンスをする方々が最高のパフォーマンスができるように聞きたい音を正確に届ける役目をイヤモニは担っています。
イヤモニはプロでない一般人でも購入できる?
「アイドルがしているイヤモニを私もしたい!」と思っている方も多いのではないでしょうか。
イヤモニは音楽を専門とするアーティストしか買えないわけではありません。安いものであれば1万円台から購入することもできます。
しかし、アーティストの中には広いステージを走り回ってパフォーマンスをするため、自分の耳の形に合わせて特注でイヤモニを作ってもらっている方も多いです。また、イヤモニは、いわばパフォーマンスには必ずなくてはならない必需品です。自分好みのデザインにデコレーションしたり独自のデザインをプリントしている方も多いです。特注で作る場合は20万、30万かかるものもあるんだとか。
イヤモニは耳に良い?悪い?
イヤモニは外部の音を遮断するため小音でも音楽を聞くことができます。従って、音楽を大音量で聞かなくて済むので耳に負担がかかりにくいと考える方もいるかもしれません。
しかし、それは大きな間違いです。
イヤホンとイヤモニはそもそも耳への音の届き方が違います。イヤホンは耳に直接音を届ける構造ですが、イヤモニは鼓膜に直接音を響かせています。鼓膜に直接働きかけている分、鼓膜への負担はイヤモニの方が大きいと言えるでしょう。
イヤホンは外部の音を完全に遮断できないため、外部で大きな音が流れている場合は、それに負けないほどの大音量で音を耳に届ける必要があります。その環境下の中では、イヤホンよりもイヤモニの方が、小音で聞きたい音を聞くことができるので、耳への負担は小さいと言えます。
しかし、通常の環境下で音楽を聞くにはイヤホンで十分です。というよりも、イヤホンの方が耳に負荷がかかりにくいということができるでしょう。
普段から、大音量で音楽を聞いてしまっているという方は、イヤモニで外部の音を遮断して小音で音楽を楽しむというのであればイヤモニの方が耳への負担は少なくて済むかもしれません。
どちらにしろ大音量で音楽を聞くのは耳にはあまり良くないので控えることをおすすめします。
加えて!イヤモニは遮音性が高いので外部で危険が迫っていても気づきにくいというのもデメリットだね!
イヤモニには種類がある!
イヤモニにも種類があります。そのひとつに、ドライバーユニットと呼ばれる音が聞こえるための構造があります。これはイヤモニだけでなくイヤホンにも応用できる知識です。
それぞれのドライバーユニットに特徴がありますので好みの特徴を考えながらイヤモニやイヤホンを決める際に活用してみることをおすすめします。
ドライバーユニット | 特徴 |
---|---|
ダイナミック型 | 最も一般的な型です。低音が得意で、臨場感や迫力のある音楽に相性がぴったりです。 |
バランスドアーマチュア型 | 中音から高音域を得意とした型です。緻密で鮮明でクリアな音を聞くことができます。原音に近い音を聞いたりするのに特化しており、構造も複雑なためその分値段が高いです。専門的な職業の方に好まれています。 |
ハイブリッド型 | ハイブリットはその名の通り、ダイナミック型とバランスドアーマチュア型のハイブリッドです。低音域から高音域までを得意としており、上記二つの型の欠点を補ったバランスの良い型です。 |
ドライバーユニットには「ダイナミック型」「バランスドアーマチュア型」「ハイブリッド型」の三種類があります。また、有線と無線(ワイヤレス)のものがあり、アーティストの方々はワイヤレスのイヤモニを使用することが多いです。有線のイヤモニよりも無線のイヤモニの方が一般的に値段が高い傾向があります。
以下で、イヤモニの価格帯をご紹介します。
イヤモニのブランドとその価格帯は?
イヤモニは、市販のものから特注のものまであり、市販でコスパの良いものは19000円前後から販売されています。市販のものでも10万以上するものが販売されています。特注となると〇十万程かかります。
基準としては4万円から5万円のイヤモニが多いです。その値段よりも安いか高いかで性能が分かれてきます。
歌手が耳につけてるやつのまとめ
今回は、「歌手が耳につけてるイヤホンぽいやつはなに?」について解説しました。
イヤモニは、歌手だけでなく音楽に関わるアーティスト全般で重宝されています。
歌手が耳につけてるやつのまとめ
- 歌手の耳についてるイヤホンっぽいやつはイヤモニと言います。
- イヤモニとは、イン・イヤーモニターの通称。
- イヤモニの役割は音をチェックすること。
- 歌手がイヤモニを使用する理由は、パフォーマンスのために必要な音を正確に聞くため。大きな会場では音が反響し正確な曲が聞き取れないから。
- 昔はモニタースピーカーで今はイヤモニ。
- イヤモニとイヤホンの違いは「遮音性」「音を聞く目的」「音の耳への届き方」にある。
- イヤモニは歌手だけでなく、ミュージシャンやダンサーも使用する
- イヤモニをしない歌手やミュージシャンもいる
イヤモニのメリット(利点)
- 聞きたい音だけを聞くことができる
- 外部の音の遮音性が高く小音で聞こえる
- どこにいても正確な音を聞くことができる
- 音楽だけでなく、リズムだけ、特定の楽器の音だけ、カラオケ音源、スタッフの指示など、なんでも聞くことができる。
歌手がイヤモニを使用する理由は、パフォーマンスに必要な音を正確に聞き取る為でした。ライブ会場が大きければ大きいほど音が反響し遅れて聞こえてくるため、テンポがずれてしまいます。
イヤモニは歌手・演奏家・ダンサーなどのミュージシャンにとってはなくてはならないものだということが分かりました!